Treatise No.2(2002年5月12日公開)

「非交通違反見切り発進方法論」
〜交通違反にならない見切り発進〜


まえがき

 近年続発する見切り発進による信号無視の取り締まりを受けないために、交通違反とならずなおかつ見切り発進を実行する方法を研究し、ここに報告する。


第一章 見切り発進の定義

 まず「交通違反とならずに見切り発進を実行」するためには正しい「見切り発進」を定義しておく必要がある。
これは私の持論であるが、本当の見切り発進は違反ではないと思っている。
なぜなら、本当の見切り発進というのは見切り発進という言葉の通り、「見切っている」からである。
これはどういうことかというと、正しい見切り発進とは、”見切った”・”発進”つまり完全に青信号になる瞬間を見切った発進の事であり、ゼロヨンで言えばリアクションタイム0.5秒というあとほんの一瞬でも早くスタートしてしまえばフライングになってしまう発進の事を指しているのである。
つまり交差点においてはリアクションタイム0秒が本当の見切り発進ということになる。
さらにわかりやすく言うならば、江戸時代、腰に刀をさした武士が果たし合いの終盤に「おぬしの剣、見切った!」と叫んだ次の瞬間に叫んだ方は相手の向こう側に移動していて、その後一呼吸おいて相手は倒れる・・・というようなシチュエーションの時の「見切った」と同じ意味だからである。
この、本当の見切り発進の定義を念頭に置いて以下を読み進んで頂きたい。


第二章 現在行われている見切り発進

 交差点で前方の信号が青になる直前に発進してしまう見切り発進は違反であるため、そう易々と行われてはいないのではないかと思われがちである、しかし市街地を走行してみると自分も含めて間違った見切り発進が意外なほど行われているということに気付くだろう。
市街地を走行する際に、自分は意識的に信号が青になったのを確認してから発進するようにしてみると、他車は自分よりも明らかに早いタイミングで交差点を発進してゆくものである。
人が無意識に見切り発進を行うのは、
(1)「信号機が青に変わったのを見逃すまいとする心情の時」あるいは
(2)「やや混んでいる道路を横切る交差点の場合」に多いようで、
(1)の場合に関しては、前方の信号機が青に変わったのを見逃さないために左右の信号機が黄色や赤に変わるのを左右の信号機が青である時から注意深く察知しているためであり、ごく典型的な見切り発進と言える。
(2)の場合に関しては、赤信号で停車中に前方を横切ってゆく車が急にいなくなると人は左右どちらかを確認し、その時に左右の信号機が赤になるのを確認してそのまま発進してしまうようである。
こういった発進のタイミングがたまたま早すぎたことと、たまたまパトカーがいたという不運がかさなれば、少しくらいの見切り発進ならば見逃されていたとしても、違反切符を切られてしまうということにもなりかねない。
つまり現在行われている見切り発進で違反切符を切られる確率は、
(違反切符を切られる確率)=(停車中、最後に前方の交差点を横切った車が信号は早めに停車を心がけている可能性)×(交差点にパトカーがいる確率)×(パトカーが捕まえる気分かどうか)
という公式で表されることになる。
この公式に当てはめて考えると、まず(停車中、最後に前方の交差点を横切った車が信号は早めに停車を心がけている可能性)これは、タクシーなどは当然黄色で止まるが一般車がそういう行動をすることはあまりないので、確率的には多く見積もってもの10%程度と仮定しておく。
さらに(交差点にパトカーがいる確率)だが、これは非常に低い、パトカーの絶対数に対して交差点の数が多すぎる上に、パトカーの稼働率とパトカーが交差点以外にいる確率も考慮に入れる必要があるため、これは極端に多く見積もったとしても5%以下と仮定して良いだろう。
最後に(パトカーが捕まえる気分かどうか)だが、これは非常に予想が難しい項目である。
例えば交通安全週間などは、当然「やる気」になっているパトカーが増加し、パトロールも増加すると思われるため遭遇の可能性も高くなる。
さらにボーナス直前など評価をあげておきたいという時期にも当然「やる気」になっているパトカーが多くなっている可能性が高いため、時期的な要因もからみ一概には言えない上どの程度の見切り発進ならば違反切符を切られるのかがはっきりしないため、これは仮にxとしておく。
つまり、違反切符を切られる確率は、
(停車中、最後に前方の交差点に差し掛かった車が信号は早めに停車を心がけている可能性)0.1×(交差点にパトカーがいる確率)0.05×(パトカーが捕まえる気分かどうか)x=0.005x
ということになる。
仮にxが10%以下と仮定すると、1/10,000以下の確率でしかないが運が悪い時には違反切符を切られてしまうということもあり得るので、このような悲しい思いをしないためにも誤った見切り発進とは決別し、以下の項目で本当の見切り発進について習熟して頂きたい。


第三章 本当の見切り発進の方法

 本当の見切り発進の方法だが、これには2種類の方法がある。
まずは一つ目の方法である。
(1)今までの見切り発進同様左右どちらかの信号を見ておく。
(2)左右どちらかの信号が赤になったのを確認し、目を閉じる。
(3)1呼吸ないし2呼吸おいたところで目を開き「見切った!」と叫びつつ発進する。
これが一つ目の方法だが、これはあくまで初心者向けの方法であり、恐らく交通違反にならないというだけでこれは「本当」の見切り発進とは言えないであろう。
その上、この方法はもしもこの信号機が時間差信号だった場合などはものすごく恥をかいたり、場合によっては事故になったりする危険性が高いのであまりお勧めはできない。
これを予測式見切り発進(Prediction type Sacrifice Start:PSS)と呼称する。
次に上級者向けの本当の意味での見切り発進である。
(1)まずは普通に赤信号で停車したらすぐに目を閉じて呼吸を整える。
(2)心を無にし、無心の境地に至る(当然オーディオはミュートと思われがちだがオーディオの作動音も気になるので、電源をOFFにする。しかし、触媒ストレートでもアイドリングは可)
(3)信号が青に変わる瞬間を感じ、「見切った!」と叫びつつ発進する。
これが本当の見切り発進である、この方法ならば信号が青になる瞬間を感じているため時間差信号を見落として恥をかいたり事故をおこしたりする心配がないため自信を持ってお勧めすることができる、ただしこれはかなりの熟練度が要求されるため日々精進するよう心がけて頂きたい。
これを無心式見切り発進(Innocent type Sacrifice Start:ISS)と呼称する。


第四章 総評


 みなさんも三章で記したISS(Innocent type Sacrifice Start)を会得して、正しい見切り発進を実行し、違反切符を切られることのないようにしていただきたい。
 なお、ここに書かれている行為や事柄を実行したことが原因で事故を起こした、または取り締まりを受けた場合、筆者は一切関知しないものとする。


追記 見切り発進による信号無視

 追記として、見切り発進による信号無視を加筆しておく。
これは読んで時のごとく、見切り発進の度がすぎると、見切り発進のタイミングが早すぎて前方の信号機が青に変わる前に交差点を通過してしまい、端から見ればごく普通に信号無視をしただけに見えてしまう場合の事である。
常識的に考えれば、いくらなんでもそれはあり得ないだろうと思われるだろうが、これも田舎にある交差点や深夜の交差点では意外によくあることで、これはほとんどの場合がオートマチック車に限られ、左右の信号機が黄色になるのを確認して「そろそろ前方の信号機が青になるかな〜」などと思いつつブレーキから足をはなし、そろそろとクリープ現象で走行してそのまま交差点を抜けるあたりで加速して通過してしまうという場合があるようである。
 筆者も、数回このタイプの見切り発進(信号無視)を見かけたことがあるが、このタイプの見切り発進の場合パトカーに見られたら最後、ほぼ100%の確率で違反切符を切られることになるため、これだけは絶対に避けるようにして頂きたい。



◆見切り発進イメージトレーニング用画像
※写真をクリックすると、別ウィンドウで表示されます。

戻る